梅干しの種の中にある「仁」は別名「天神様」と呼ばれますが、その名は学問の神様・菅原道真にあやかってつけられたものです。
平安時代に活躍した菅原道真は幼い頃から梅を愛しており、梅に関する和歌もたくさん詠んでいます。また、自宅にも多くの梅の木を植えるなど、梅とは切っても切れない関係を築いていきます。
このような背景から、菅原道真を祀る神社の境内には、こよなく愛していた梅が植えられるようになります。そして、「天神様」がいる梅の種を粗末には扱えないという考えが生まれ、江戸時代には太宰府天満宮に「梅干の種納め所」が作られました。
種の中にある「仁」には、青酸配糖体のアミグダリンが含まれています。このアミグダリンが胃腸などで酵素に分解されると、シアン化合物(青酸)に変化します。食べると中毒を起こすといわれていますが、熟した実は濃度が下がっており、うっかり飲み込んでも問題はありません。
梅干しは製造工程で梅を塩漬けにします。この際、発芽に必要な胚が失われるため、基本的に芽は出ません。一方で、減塩タイプや塩漬けされていないものは発芽する可能性があるともいわれています。
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